宗教法人あれこれ

宗教法人の合併


宗教法人を取り巻く環境は、近年、目まぐるしく変化しており、その変化の仕方は地域によって様々であると思われます。

人口減少が問題視されている現在ですが、それとともに、地域によっては、人口流出という問題、重ねて高齢化という問題が深刻化している地域も増えてきており、それとは逆に、人口が増え続けているような地域も存在します。

そのような環境の変化から、近年、宗教法人の解散や、宗教法人の合併ということが増えてきており、この勢いは、かなりのスピードで増してきているようにも感じます。「解散」や「合併」などと聞くと、他人事のように感じられる方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそうではなく、身近なものとして、しっかりと考えていく必要があるように思います。歴史があるからとか、地域の人が多いからとか、そのようなことは保障にならないこともあり得ることを、認識しておくことは必要かと考えます。

もし「解散」や「合併」ということに直面したとき、その苦しい状況の中で、代表役員や責任役員などの関係者には、どのようなことが待ち受けているのでしょうか。
解散については、「宗教法人の解散に関する境内地などの国有化」にて、ほんの少しだけですが、触れさせていただいておりますので、ここでは「宗教法人の合併」について説明していきたいと思います。

宗教法人の合併には、旧法人を解散させ、新たな法人を新設する「新設合併」と、他の法人を吸収し、ひとつの法人が存続する「吸収合併」の2種類があります。
どちらも、解散する法人、吸収される法人の資産を引き継ぐことになりますが、その中には、負債なども含まれることになります。「新設合併」は関わるいくつかの法人が協力して、新たな法人を作るということですが、今日、宗教法人の世界で起こっている合併は、後者の「吸収合併」が多いものと考えられます。合併には、合理的なものとして解釈できる部分はあるのかも知れませんが、法人が吸収されていくということは、愛着のある関係者からすると、非常につらいものです。こんな時代だからと、しょうがないことだと、なかなか納得していける事柄ではないことです。

しかし、もしも、そのような状況にならざるを得なくなってしまったとき、それが存続する側、そうでない側、どちらであっても、その時には、やらなければならないことが多くあることも現実なのです。

所轄庁に合併認証の申請をすることが必要になるのですが、その申請をするまでに、以下のようなことを、それぞれの法人で準備する必要があります。

①責任役員会の議事録・総代会などの同意書・財産目録
②包括宗教団体の承認
③合併をすることの公告・債権者への催告
④法人同士の合併契約書

これらを準備して、所轄庁へ認証申請を行うわけです。それに対して所轄庁は審査をし、認証を行えば、合併認証書(謄本も)の交付します。また、それに伴い、法人の規則変更手続き(新設合併は、規則認証手続き)も必要となります。そして、解散する法人は解散登記(新設合併による法人設立は設立登記)が必要となります。

簡単に触れさせていただいただけでも、煩雑な準備、手続きが待ち受けていることがわかると思います。それを、もし当事者としてしなければならなくなったとき、様々なハードルを越えていかなければならないことは、非常に精神的につらいものであることは間違いありません。
その負担を少しでも軽減していくために、出来るうちに、財産目録の作成のための財産調査や、責任役員同士での法人の在り方の認識のすり合わせ、将来的に無理がでてくるような活動などがないかなどの見直しなどを、少しずつでも行っていくことは、決して悪いことではないように思います。何かひとつでも、出来ることをやってみるのもいいかも知れません。そのような積み重ねが、「もしも」のときの備えになり、将来に向けた健全な法人の活動に繋がっていくこととなるのではないでしょうか。

「解散」も「合併」も、まだまだ自分のこととして考える必要はない方も多いのかも知れません。しかし、その波はすぐそこまできていて、いつ自分の関係する宗教法人がその立場になるかもわかりません。
その「もしも」のときのための準備は、準備する力があるときにこそしておくことは大切なことだと考えます。また、そのような皆さまのお手伝いをしていけるため、わたしも精進していこうと思います。